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第三者委員会等報告書まとめ No.2 ENECHANGE株式会社

第三者委員会

会社・委員会報告書の概要

■1 対象会社

ENECHANGE株式会社(以下「ENE社」)

■2 日付

・委員会設置日:2024年3月27日

・報告書提出日:2024年6月21日

■3 市場・会計監査人(監査法人

・上場市場:東証グロース

・会計監査人:有限責任あずさ監査法人

■4 委員会・委員・補助者

・「外部調査委員会」
日弁連「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」への準拠なし

・委員
委員長: 中島 祐輔 (公認会計士 デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社)
委 員: 白井 真 (弁護士 光和総合法律事務所)
委 員: 矢田 悠 (弁護士・公認不正検査士 ひふみ総合法律事務所)
委 員: 大久保 和孝 (公認会計士・公認不正検査士 株式会社大久保アソシエイツ)

・補助者
デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社16名
光和総合法律事務所5名
ひふみ総合法律事務所1名
八雲法律事務所 1名

報告書のサマリ

■1 不正の内容

 ENE社はEV充電事業において、特定目的会社(SPC)を連結対象外とする会計処理を行っており、当該SPCへの売上高を計上していた。しかし、代表取締役の個人的な貸付契約やオプション行使条件に関する情報が監査法人に不適切に開示されていたことが明らかとなった。本来連結対象に含めるべきSPCを連結対象に含めないという会計不正を行っていた。

■2 不正の原因

 不正の原因は、経営陣の内部統制の欠如とコンプライアンス意識の低さが上げられている。また、経営トップが会計処理に関する重要な論点を意図的に軽視し、監査法人への説明を不正確に行っていたことが不正の背景にある。

 もっとも、意図的な経営者による隠蔽があったとの事実認定はしなかった。(※この点について、あずさ監査法人は監査報告書において、経営者による不正があったと認定している。)

■3 会計処理への影響額

外部調査委員会報告書には記載がない。もっとも、2024年7月9日付リリースによると、修正額は下記のとおり。

2023年12月期:売上高▲69百万円、営業利益▲286百万円、当期純利益▲1,783百万円

特別損失として、

減損損失を1,606百万円、

決算訂正関連費用引当金繰入額919百万円

の計上がなされた結果、上記のとおり当期純利益が大幅な下方修正となった。

■4 再発防止策

再発防止策としては、以下の項目が挙げられている。

①コンプライアンス意識の向上

最も大切なことなのですが、言うは易く行うは難しで、組織風土の改善等の地道な作業が必要です。

②権限分散による牽制機能の強化

執行サイドの経営メンバーと社外役員との連携強化を図ることが提案されています。

上記のとおり、やはり社外役員の場合は社内の情報に疎くなるので、その点の改善が望まれます。

③取締役会の監督機能の強化

こちらもやはり社外役員による監督の強化のために、社外役員がアクセスできる情報の強化が提案されています。

④法務コンプライアンス及び会計・経理に係る機能の強化

法務人材の採用、会計リスクの洗い出し、事業部から独立した立場での検討実施ができる体制づくり、が提案されています。

どこの会社でもそうですが、法務、会計の専門家がENE社には不足しているのでしょう。

その後の経緯

■1 役員の辞任等

定時株主総会継続会の終結時をもって、

代表取締役CEOが辞任。

■2 会計監査人の異動

2024年12月期の第一四半期レビュー終了後、

あずさ監査法人が退任、一時会計監査人に監査法人アヴァンティアが就任。

■3 その他

決算訂正の結果、2023年12月末時点では14億円の債務超過に陥っていたが、2024年2月に産業革新投資機構(JIC)から約40億円の出資を受けたことで、債務超過は解消したかたちになっている。

資料へのリンク等

■会社IR

外部調査委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ

(訂正・数値データ訂正)2023年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 一部訂正に関するお知らせ

代表取締役の異動(退任)に関するお知らせ

■日経記事

エネチェンジ会計処理「不正認められず」 あずさは反発

エネチェンジ、債務超過解消 3月末時点

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