遺言内容作成報酬
遺言作成を専門家に相談する場合の費用が4種類あることは、「遺言作成の費用っていくら?」の記事で説明しました。
今回から数回に分けて、このうち大きな額を占める遺言内容作成報酬費用を、専門家ごとに比較します。
「遺言を書くには、誰に相談すればいい?」の記事で紹介した専門家、5者について比較していきましょう。
今回は、信託銀行に遺言作成を依頼した場合の費用を検討しましょう。
具体的な金額でイメージするため、以下のケースを設定してみました。
・相続財産総額は7,000万円
・相続人は妻と、子2人の合計3人
・預貯金2,000万円
・株式・投資信託(時価)2,000万円
・自宅不動産の固定資産税評価額3,0000万円(住宅ローンは完済)
・遺言の形式は公正証書遺言
・遺言の内容はシンプルで定型的
※以下の報酬費用はいずれも消費税を除いた数値で記載しております。
①信託銀行の報酬相場の比較
相続・遺言といえば、信託銀行に相談することが真っ先に思いつく方が多いかと思います。
信託銀行は、豊富な資金力を使ってテレビCMを流して案件を集めています。
たとえば、最大手の三井住友信託銀行では、複数のプランがあります。
そのうち総額の支払いを抑えるプランである、プランⅡを見ていきましょう。
1:基本手数料(遺言書作成時に発生)…80万円
2:遺言執行時の報酬(死亡時に発生)…相続財産の額に応じて下記表のとおり

上記の事例のケースだと、5,000万円×2%+2,000万円×1.5%= 130万円、となります。
3:事例における報酬合計…210万円
※※三井住友銀行HPより抜粋して作成
ほかにも信託銀行は複数ありますが、たいていの信託銀行で同様の報酬金額となっております。
信託銀行の特徴は、「費用が比較的高額」、「遺言執行を必ず依頼しなければならない」の2点です。
これらの理由により、専門家の中では最も高額な報酬水準であるといえます。
一方で、弁護士等の士業専門家は、基本的に個人事業主や中小法人であり、その経営基盤に疑義がなくはないです。
したがって、大企業たる信託銀行の安心感というものが、なくはないといえるでしょう。
※遺言作成に関与した専門家が倒産しても、遺言が無効になったりはしません。もっとも、遺言執行者の再選定が必要になる等の一定の手間が発生する可能性があります。
どの信託銀行に頼むのがいいか
複数あるうち、どの信託銀行に頼むのがいいか、はあまり難しい問題ではありません。
報酬水準も業務内容も、どの信託銀行に頼んでもほとんど同じです。
また、基本的にはどの信託銀行もつぶれることはおそらくないでしょう。
したがって、家から近い、相談しやすい、知り合いに紹介された等、お好きな理由で選びましょう。
余談ですが、地方銀行で名前に「信託銀行」と入っていない銀行であっても、信託業の免許を取っている銀行があります。
これらの地方銀行では、信託銀行同様のサービスを提供しています。
「近くに信託銀行なんてない」って方は、お近くの大きな地方銀行に相談してみるといいかもしれません。
他の専門家に依頼した場合の費用相場
まとめ
遺言作成にかかる費用はどの専門家に依頼するかによって大きく異なる
信託銀行に遺言作成を依頼する場合、遺言執行も依頼しなければならない
信託銀行は、大手で安心感がある一方で、最も高額になりがち
信託銀行間での大きな差はない

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