ほとんどの人は相続税は気にしなくて良い
いきなり結論を書いてしまいました。
相続の話になると、相続税を気にされる方は多い印象です。
私もかつて「相続税の支払い、大丈夫でしょうか?」と相談されたことがあります。
その方の場合、1円も相続税がかかることがない財産の額でした(笑)
私はゆっくりと、「安心してください」と答えた記憶があります。
相続税の課税割合(相続税がかかる人の割合)は、わずか9.6%です。
(出展:令和4年分 相続税の申告事績の概要)
また、相続税がかかるケースでも、気にしなければいけないような額になることも稀です。
地主や会社経営者等のよほどの財産を持っている人のみです。
相続税制度が複雑なため基準を示すのは難しいのですが、あえて示せば、
「相続財産の合計が1億5000万円以下なら、相続税はあまり気にしなくてよい」
「相続財産の合計が3億円超であれば、相続税について専門家に必ず相談すべき」
と私は考えています。
配偶者が支払うべき相続税
結婚している人が亡くなると、大抵の場合、その配偶者が財産を相続するように遺産分割します。
配偶者が財産を相続する場合、財産の課税価格が1億6000万円以下であれば、相続税はかかりません。
これは残された配偶者の生活保障の意味合いがあると言われています。
相続財産が1億6000万円を超えるケースなど、大金持ちだけでしょう。
したがって、配偶者が相続する場合、相続税はかからないのが通常です。
なお、配偶者とは、あくまで法律上の配偶者である必要があります。
事実婚の配偶者ではこの控除制度は適用できないので、注意しましょう。
子どもが支払うべき相続税
子どもが相続する場合、配偶者が相続する場合に比べて、若干相続税がかかるケースが増えます。
配偶者がすでに死亡していて、子どものみが相続人となる場合、財産の課税価格が以下を超えると、相続税がかかります。
3000万円 + 子どもの数×600万円
つまり、子ども2人であれば、相続財産が4200万円以下であれば、相続税はかかりません。
仮に、相続財産が1億5000万円で、子ども2人が相続人の場合、相続税の合計額は1840万円です。
相続税の負担率はわずか12.2%にすぎません。
このように、実際の支払いは大したことないケースが大半です。
なので、上記のとおり、「相続財産の合計が1億5000万円以下なら、相続税はあまり気にしなくてよい」のです。
会社経営者の方へ
会社の経営者の場合、中小企業であっても、その会社の株式の価値が大きい場合があります。
会社の存続の観点から、事業承継対策をとっている経営者が大半かと思います。
事業承継の相談をする際に、相続税対策もセットで行うことになります。
したがって、会社経営者の方は、まず事業承継について相談してみればいいでしょう。
注意点
本記事はあくまで、相続対策を考えるうえで、相続税を気にするかどうか、という点の記事です。
実際には、制度の適用には相続税の申告自体は必要なケースがありますので、ご留意ください。
気になる方は、税理士に相談してみましょう。
まとめ
ほとんどの人は相続税は気にしなくてよい
相続税がかかる人はわずか9.6%
相続財産の合計が1億5000万円以下なら、相続税はあまり気にしなくてよい
相続財産の合計が3億円超であれば、相続税について専門家に必ず相談すべき
会社経営者は事業承継対策・相続対策を同時に実施することができる
詳細は税理士に確認することが大事


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