事業承継対策の必要性
高齢化社会と言われ始めて久しい日本ですが、経営者も例外ではありません。
現代の日本の中小企業では、経営者が高齢化しており、後継ぎへの承継もあまりうまくいっていない企業が多くあります。
50年ほど前の日本であれば、親の事業は長男が受け継ぐというのが一般的であったかもしれませんが、子どものいない、子どもがいても別の仕事についている等、子どもへの事業の引継ぎは必ずしも一般的ではなくなってきたのが、現代の日本です。
その結果、事業の承継を行わないまま、経営者が高齢化してしまっているというのが、現代の中小企業をとりまく状況といえるでしょう。
事業承継対策をとらないとどうなるのか
事業承継対策を怠ったままにしておくと、経営者が病気になったり亡くなったりすると、会社の経営がストップしてしまいます。
多くの中小企業では取締役が実質1人ということが多いのですが、新しい経営者を選ぶには、株主総会による選任手続きが必要となります。
しかし、倒れてしまった経営者が1人株主であるケースでは、株主総会を開くことも極めて困難であり、その結果、会社に経営者が不在の状況になってしまいます。
仮に株主総会を開くことができたとしても、後継ぎになりたいという方がいなければ、同様に経営者不在の状況になってしまいます。
また、会社に銀行からの借金があり、それを経営者の方が連帯保証しているのが、一般的な中小企業かと思いますが、この借金の相続も問題となりえます。
そうなる前に、つまり経営者が元気なうちに、必ず事業承継対策をとっておく必要があります。
いつから事業承継対策をすべきか
いつから事業承継対策をすべきかは、もちろん企業によるのですが、経営者が元気である間に完了しておく必要があることを考えると、経営者が50代のうちに開始するのが望ましいでしょう。
経営者が60代以降になってくると、複数ある事業承継の対策のうち、時間がかかる対策’(たとえば別の企業で働いている子どもを後継者に育てる等)をとることが難しくなってしまうためです。
もちろん、事業承継の開始に遅すぎるということはないので、60代・70代になっている方も今日これから事業承継対策を開始していきましょう。
事業承継対策、何から始めるのか
「事業承継対策を開始しよう!」と思ったものの、何から着手すればいいのでしょうか?
「中小企業 事業承継 相談」等で検索をすれば、相談に応じてくれる機関は多々出てきますので、そこに相談することもいいでしょう。
ただ、個人的には、まず経営者の方が企業をどうしたいのか、それをざっくりとでも考えていただくのがいいと思っています。
事業承継には、主に以下の3パターンがあります。
①親族承継
②従業員承継
③第三者承継
①親族承継は、子どもや甥姪等に承継してもらう方法です。この場合、贈与等による企業の株式の異動や後継者育成がポイントになってきます。
②従業員承継とは、承継したいという親族がいない場合に、会社にもともといる従業員に会社を経営してもらう方法です。この場合、企業の借金をどうするのか、株式をどうやって移すのか、がポイントになってきます。
③第三者承継は、企業をいわゆるM&Aしてもらう方法です。この場合、会社の磨き上げや誰に買い取ってもらうのか、どういう条件で買い取ってもらうのか、がポイントになってきます。
①②③いずれの方法をとるにしても、弁護士と税理士の協力は必要不可欠です。
なぜなら、会社の経営を引き継ぐには、株式の引継ぎや組織体制の構築が必須ですが、これは会社法を専門とする弁護士の協力がなければ極めて困難だからです。
また、株式を贈与、相続する場合、贈与税・相続税が絡んできますので、思わぬ課税を食らわないためにも、税理士の協力は必須です。
弁護士、税理士のいずれに相談しても、事業承継サポートを行っている弁護士、税理士であれば、必ずもう一方の士業を紹介してくれますので、近くの信頼できる専門家へ相談してみましょう。
まとめ
経営者の高齢化が進む日本において、事業承継対策は必須
事業承継対策を怠ると、悲惨な結果になりうる
経営者が50代のときに事業承継対策を始めるのがベスト
事業承継には、親族承継、従業員承継、第三者承継の3つがある
いずれの事業承継対策をとるにしても、弁護士、税理士への相談は必須


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