監査法人で働いてみて
前回の「弁護士からダブルライセンスを目指した会計士試験合格後のキャリア体験談」で、私が会計士試験合格後に監査法人に入った理由について、お伝えしました。
今回は、実際に入ってみた感想をお伝えできればと思います。
監査法人に入る前に考えていたことについて
①ひととおりの監査実務・知識を身に着ける
監査法人に入った最大の目的はこれでした。
中小監査法人をあえて選んだという戦略が功を奏し、上場企業のインチャージも若手のときから任せてもらう事ができました。
もちろん、4年半という期間で、監査実務の全てを学んだなんてことは言えませんが、
上場企業のインチャージを経験することで、監査法人以外で働く会計士として求められるひととおりの経験はできたかな、と思っています。
したがって、ひととおりの監査実務・知識を身に着ける、という目的については、概ね達成できたと考えています。
②企業のガバナンスに関する知識・経験を深めたい
監査法人に入ると、よほど大きなクライアントの担当でない限り、複数の企業の監査を担当します。
私の例だと、一年間の間に上場企業が2~4社、非上場企業(会社法監査やIPO準備企業)も2~4社程度、担当しておりました。
入所依頼一貫して担当し続けたクライアントもあれば、新規で担当したり、担当を外れたり、といったクライアントもありました。
合計すると、4年半の間で約10社程度のクライアントに関与させていただきました。
クライアントの規模は、スタートアップから上場企業まで、幅広く担当しました。
したがって、多くの企業について、平時のガバナンスを見ることができて、
企業のガバナンスに関する知識・経験を深めたい、という目的についても、概ね達成できたと考えております。
③副業(弁護士業務)もしたい
私が監査法人アヴァンティアを選んだ理由のひとつが、副業が可能だということでした。
ただ、実際に入ってみると、当たり前ですが監査業務が忙しいです。
したがって、ほとんど副業をする時間はとれませんでした。
特に、監査法人には繁忙期(4月中旬から5月中旬)があり、この時期は監査以外何もできない状態となります。
逆に、閑散期もあるのですが、副業をこの時期に狙ってとる、というのも難しく、結局副業はほとんどしませんでした。
まあ、よく考えてみれば、こうなることが当たり前だった気もしますが。。。
なので、弁護士業務をある程度続けたい、という方は、監査法人に常勤で入るのは控えたほうがいいでしょう。
その他監査法人勤務で感じたこと
・年収の落ち込みが少しきつい
弁護士の所得(年収ではない)は、色々なデータがあるのですが、大体、平均が約1000万円、所得の中央値が約800万円です。
一方、監査法人1年目は、残業時間にもよりますが、大体、年収が約600万円、つまり所得が約436万円、となります。
したがって、もちろんどれくらい稼いでいたかにもよるのですが、弁護士から監査法人へ転職すると、年収は凹んでしまいます。
そして、監査法人に長く勤めれば務めるほど、年収が凹む期間が長くなってしまいます。
監査法人で得たい経験と、年収の凹みを、どうバランスを取るのかが肝心かと思います。
・チームで仕事をする
法律事務所では、基本的に1人、もしくは他の弁護士と一緒の2人で、仕事をやることが多いかと思います。
一方、監査チームは、クライアントの規模にもよりますが、最低でも5人以上のチームで監査をすることになります。
常にチームで仕事をするというのが、弁護士をやっていた私にとっては、新鮮な経験となりました。
まとめ
弁護士が監査法人に常勤入所すると、
・ひととおりの監査実務・知識を身に着けることができる
・企業のガバナンスに関する知識・経験を深めることができる
・忙しくて副業をする暇はあまりない
・年収の落ち込みが少しきつい
・チームで仕事をするという新鮮な経験を得られる

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