前回までの記事
「弁護士からダブルライセンスを目指した会計士試験合格後のキャリア体験談」で、
弁護士が公認会計士試験に合格した後、どのようなキャリアを取り得るのか、私が取ったのかについて、体験談を書きました。
「弁護士からダブルライセンスを目指した会計士試験合格後のキャリア体験談 その2」で、
弁護士が公認会計士試験に合格した後、監査法人で常勤勤務するキャリアについて、体験談を書きました。
体験談最終回の今回は、監査法人を辞めた後、ダブルライセンスとしてどのようなキャリアになっているのかを、語りたいと思います。
一般的なダブルライセンス獲得後のキャリア
統計的なちゃんとしたデータがあるわけではないのですが、弁護士と会計士の両資格保有者の数はとても少なく、100~200人の間だそうです。
おそらくそのうちの大半は、法律事務所のおいて勤務しており、業務の大半を弁護士業務に充てています。
なぜなら、そもそもダブルライセンスとなる人の多くが、
会計士になって監査法人に勤務したけど、「会計士・監査つまらない。やっぱ弁護士だな。」と言って司法試験を目指すパターンだからです。
そして、弁護士としてのキャリアをスタートさせるのは法律事務所であり、法律事務所では(当たり前ですが)弁護士の仕事しかありません。
したがって、形式的にはダブルライセンスですが、実質的には「会計・監査にすごい詳しい弁護士」といったキャリアになることが一般的かと思います。
「会計・監査にすごい詳しい弁護士」であれば、やはり企業法務が中心となります。
また、社外取締役や社外監査役、会計不祥事における第三者委員会等、ダブルライセンスが活かせる法務関連業務について、仕事を受注しやすいでしょう。
ダブルライセンス獲得後の私のキャリア
私自身は、「弁護士法人トライデント」という、弁護士と会計士のダブルライセンスから構成される事務所に身を置くこととしました。
やはりダブルライセンスが多く集まるだけあってか、一般的な法律事務所とは異なり、
会計士系の仕事もあるというのが、当事務所の特徴かと思います。
私を含め、当事務所のメンバーが取り扱っている業務は、主に以下の三つです。
①社外役員、会計不祥事の第三者委員会等、法務・会計双方の知識・経験が活きる業務
②法律顧問、訴訟、M&Aの法務DD、破産申し立て、労働トラブル対応といった、弁護士プロパーの業務
③M&Aにおける財務DD、再生案件の財務DDや資金繰り支援、学校法人の監査といった、会計士プロパー業務
三つの業務のバランスは、各メンバーによってまちまち、といったところです。
どの業務に重きを置いていきたいかは、各メンバーの好みや、仕事の受注の経路によって左右される感じです。
私自身は、一般的な弁護士や会計士と比べて最も高い付加価値が出せる①の業務を中心としつつも、やっていて楽しい仕事を中心にやっていければな、と漠然と考えております。
ダブルライセンスのキャリアについての雑感
3回にわたって書いてきましたが、弁護士と会計士のダブルライセンスと一口に言っても、
人の数だけ、キャリアも仕事の内容もあります。
新しい分野を切り開く方が出てくることもあるかもしれません。
この3回の記事を見て、少しでも公認会計士に興味をもつ弁護士が増えていただければ、私としてはとても嬉しく思います。
まとめ
弁護士と会計士のダブルライセンスを揃えた後の業務内容は、どこに所属するかに依存する。
ダブルライセンスの集まる当事務所においては、以下の3つの分野の仕事がある。
①社外役員、第三者委員会等、法務・会計双方の知識・経験が活きる業務
②法律顧問、訴訟、M&Aの法務DDといった、弁護士プロパーの業務
③M&Aにおける財務DD、学校法人の監査といった、会計士プロパー業務


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