株式会社KeyHolder 2025年12月期第1四半期決算を分析!
2025年5月14日、株式会社KeyHolderが2025年12月期 第1四半期の決算を発表しました 。売上収益、営業利益ともに前年同期を大幅に上回る力強い結果となりましたが、一方で親会社株主に帰属する四半期利益は減少するなど、数字の裏側を詳しく見ていくと、同社の現在の戦略と将来性が鮮明に浮かび上がってきます。
本記事では、発表された3つの決算資料を基に、KeyHolderの最新の業績を解説します。特に、同社の利益の根幹を支える持分法適用関連会社「乃木坂46合同会社」が業績に与えるインパクトに焦点を当てて、深く掘り下げていきます。
決算ハイライト:増収増益達成も、利益構造に変化
まずは、主要な経営成績を見てみましょう。
2025年12月期 第1四半期 連結経営成績
| 項目 | 2025年12月期 1Q (実績) | 2024年12月期 1Q (実績) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 7,993百万円 | 6,860百万円 | +16.5% |
| 営業利益 | 487百万円 | 345百万円 | +41.0% |
| 税引前四半期利益 | 360百万円 | 330百万円 | +9.2% |
| 親会社の所有者に帰属する四半期利益 | 296百万円 | 329百万円 | ▲10.1% |
出典: 株式会社Key Holder 2025年12月期 第1四半期決算短信 , 決算補足資料
売上収益は前年同期比+16.5%の79億9300万円、本業の儲けを示す営業利益は+41.0%の4億8700万円と、非常に好調な滑り出しです 。これは、2024年10月より連結子会社となった株式会社トポスエンタープライズが展開する「物流事業」が新たに加わったことが最大の要因です 。
一方で、最終的な利益である「親会社の所有者に帰属する四半期利益」は▲10.1%の2億9600万円となりました 。営業利益が大幅に伸びているにもかかわらず、なぜ最終利益は減少したのでしょうか。この謎を解く鍵は、セグメント別の業績と、営業利益以下の費用の詳細に隠されています。
セグメント別分析:新事業が牽引、エンタメ事業は「質」で貢献
KeyHolderの事業は、主に「総合エンターテインメント事業」「映像制作事業」「広告代理店事業」「物流事業」「その他」の5つに分かれています。今回の決算の大きな特徴は、このセグメントごとの業績に明確な変化が見られた点です。
セグメント別 売上収益の前年同期比較
| セグメント | 2025年12月期 1Q (実績) | 2024年12月期 1Q (実績) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総合エンターテインメント | 3,500百万円 | 3,634百万円 | ▲134百万円 |
| 映像制作 | 1,409百万円 | 1,449百万円 | ▲40百万円 |
| 広告代理店 | 1,277百万円 | 1,753百万円 | ▲476百万円 |
| 物流事業 | 1,285百万円 | – | +1,285百万円 |
| その他 | 519百万円 | 22百万円 | +497百万円 |
| 合計 | 7,993百万円 | 6,860百万円 | +1,133百万円 |
セグメント別 営業利益の前年同期比較
| セグメント | 2025年12月期 1Q (実績) | 2024年12月期 1Q (実績) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総合エンターテインメント | 474百万円 | 499百万円 | ▲25百万円 |
| 映像制作 | 28百万円 | 12百万円 | +16百万円 |
| 広告代理店 | ▲28百万円 | ▲5百万円 | ▲23百万円 |
| 物流事業 | 177百万円 | – | +177百万円 |
| その他 | ▲3百万円 | 5百万円 | ▲8百万円 |
| 連結調整 | ▲161百万円 | ▲167百万円 | +6百万円 |
| 合計 | 487百万円 | 345百万円 | +142百万円 |
物流事業:M&A成功の象徴、新たな収益の柱に
売上・利益ともに最大の貢献を果たしたのが、新たに追加された物流事業です。売上収益で12億8500万円、セグメント利益で1億7700万円を計上し、まさにM&A戦略が成功したことを示しています 。これにより、KeyHolderはエンターテインメントという変動の大きい事業に加え、安定した収益基盤を築くことに成功しました。
総合エンターテインメント事業:減収も、利益貢献度は圧倒的No.1
そして、この記事の核心である総合エンターテインメント事業です。売上収益は前年同期比で3.7%の微減、セグメント利益も5.1%の微減となりました 。この減収の要因は、主に大型ライブの開催時期のズレや、DVD等のパッケージ販売の有無による原盤印税の減少です 。
しかし、注目すべきはその利益額です。セグメント利益4億7400万円は、他の事業を圧倒しており、依然としてKeyHolderグループ全体の利益の源泉であることが分かります 。
乃木坂46の絶大な影響力:見えざる利益「持分法による投資利益」
KeyHolderは、アイドルグループ「乃木坂46」を運営する乃木坂46合同会社の持分を保有しており、その業績の一部を自社の利益として取り込むことができます。
(持分法会計については「乃木坂46合同会社と持分法会計」を参照してください。)
2025年第1四半期において、KeyHolderはこの持分法による投資利益として2億8200万円を計上しました。そして、その利益の大部分が「乃木坂46合同会社に係るもの」です 。
総合エンターテインメント事業のセグメント利益4億7400万円 や、会社全体の営業利益4億8700万円 と比較しても、そのインパクトの大きさが分かります。
記事を書くたびに書いてますが、KeyHolderの利益は、乃木坂46合同会社の極めて高い収益力によって大きく支えられています。
コンサートやイベントの開催数といった目に見える活動だけでなく、公式ゲームアプリ(「乃木恋」「サクコイ」「ひなこい」) 、グッズ販売、ライセンスビジネスなど、多角的に展開される乃木坂46の事業そのものが、KeyHolderにとって巨大なキャッシュ・カウとなっているのです。
この第1四半期も、乃木坂46の活動は精力的でした。
- 38thシングル「ネーブルオレンジ」のリリース
- 与田祐希 卒業コンサートの開催
- 37thSGアンダーライブの開催
これらの活動は、直接的なチケット収入やグッズ売上だけでなく、グループのブランド価値を高め、持分法投資利益の源泉となる乃木坂46合同会社の収益に繋がっています。卒業ライブ等の開催時期のズレでセグメント売上が多少減少しても、この安定した利益基盤があることが、KeyHolderのエンタメ事業の最大の強みと言えるでしょう。
まとめ
KeyHolderの2025年12月期第一四半期の業績は引き続き順調
好業績の理由も、引き続き合同会社乃木坂46の持ち分を保有していることによる
当第一四半期において、持分法による投資利益だけで282百万円もの利益計上している


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