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相続する財産の割合の決め方 ー遺言のない場合ー

相続・遺言

相続する財産の割合の決定方法は?

前回、遺言のない場合に、誰が財産を受け継ぐのかについて、説明しました。

(「相続人って誰がなるの? ー遺言のない場合ー」参照)

誰が相続するのか、と同じくらい興味のある問題が、どの割合で財産を相続するのか、ではないでしょうか?

各相続人が相続する財産の割合は、相続人全員の合意によって決めるのが原則になります。

相続人全員が合意ができれば、特に何の制限もありません。

民法には、法定相続分という、家庭裁判所での審判手続きにおいて用いられる相続割合の定めがあります。

(「相続する財産割合の家庭裁判所における決定方法 ー遺言のない場合ー」参照)

しかし、相続人全員で合意ができる場合には、この法定相続分に縛られることはありません

法定相続分とは、あくまで当事者間で合意ができない場合に出てくる話なのです。

もっとも、当事者間の話し合いの基準としての実質的な効果はあります

つまり、合意さえできれば、

すべての相続人に等しく分けることも、

1人の相続人にすべて相続させることも、

不動産は長男・預金は次男というように分けることも、

相続人の間で自由に分けることができます。

遺産分割の合意の期限ってあるの?

話し合いの期限、すなわち遺産分割をしなければいけない期限は、民法上はありません。

民法上はないのですが、相続税法上は一応の期限があるのです(ややこしいですね)。

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内にしなければなりません

「ウチは相続税がかかるような財産なんてないから、急がなくてもいっか」なんて思ってませんか?

相続税がかからないため相続税の申告が不要なケースでも、

遺産分割は長期間放置すればするほど、分割がさらに難しくなってしまいます。

資料が散逸したり、相続人までもが死亡してさらに相続人が増えたりするからです。

したがって、いたずらに長期間放置することなく、相続人全員で適切な時期に、合意に向けて話し合いをする必要があります。

相続人だけで話し合いがつかない場合には、弁護士に頼んで速やかに合意ができるように取り組むのがよいでしょう。

なお、仮に10か月以内に話し合いがまとまらない場合は、いったん法定相続分のとおりに相続したと仮定して、相続税の申告をします。

この場合、合意形成ができた後に、あらためて相続税の修正の申告をすることになります。

相続人全員での合意形成が難しいと予想される場合

音信普通の相続人がいる場合や、兄弟姉妹間の仲が著しく悪い場合など、相続人全員での合意形成が難しいと予想されるケースもあるでしょう。

そのような場合、望ましいのは、生前に遺言を書いておくことです。

遺言を書いておけば、相続人全員での合意形成が不要となるため、争いとなる可能性が著しく減少します

遺言については「遺言を書こう」等の記事で説明していますので、ご参照ください。

全員の合意ができない場合にはどうするの?

当事者同士の話し合い、もしくは弁護士同士の話し合いでの合意ができない場合には、家庭裁判所で遺産分割の手続きをすることになります。

(「相続する財産割合の家庭裁判所における決定方法 ー遺言のない場合ー」参照)

まとめ

相続人が相続する財産の割合は、相続人全員の合意によって決める

遺産分割そのものに期限はないが、早めに合意することが肝心

当事者だけで合意がまとまらない場合は、弁護士に相談する

相続人が合意できそうにない場合は、生前に遺言を書いておく

それでも合意ができない場合は、家庭裁判所で手続きを行う

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