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相続人って誰がなるの? ー遺言のない場合ー

相続・遺言

財産は誰が受け継ぐの? 

人は誰しも、いつか必ず亡くなります。

人が亡くなったときに発生するのが相続です。

つまり、この世に相続に全く関係のない人生を送る人はいないということです。

相続とは、亡くなった方の財産を、誰がどのように受け継ぐか、を決めることです。

誰がどのように財産を受け継ぐかは、、亡くなった方が遺言を書いていたかどうかにより大きく2パターンに分かれます。

遺言を書く方は近年増加傾向にあります。

とはいえ、まだまだ遺言を書いていない方が多いこともあり、今回の記事では、遺言がない場合について、説明したいと思います。

遺言がない場合に財産を受け継ぐ人

遺言がない場合に、財産を受け継ぐ人(「相続人」といいます)を誰にするか、を決めているのは、国です。

正確にいうと、民法という国が作った法律によって、遺言がない場合に財産を受け継ぐ人が誰か、が定められているのです。

民法の定めによると、相続人は以下の2種類の人です。

①配偶者

②血族(子・直系尊属・兄弟姉妹)

法律で決まっていることなので、たとえば、亡くなった方の面倒を長年観てあげた叔父がいたとしても、その叔父が相続人になることはあり得ません。

したがって、上記2種類の人以外に財産を残したい場合には、遺言を必要があります。

配偶者

配偶者は、常に相続人になります(民法890条)。

注意したいのは、この「配偶者」とは、法律上婚姻関係にある配偶者を意味し、事実婚の相手方は相続人にはなれない、という点です。

この点は、さまざまな理由で事実婚状態にある人(たとえば、LGBTの方や夫婦別性を維持したい方)の保護に欠けていると批判が強いのですが、現状の法律の定めでは、法律上の配偶者しか相続人になれない、とされています。

従いまして、事実婚状態にある方は、「必ず」遺言を書く必要があると言えるでしょう。

また、当然ですが、離婚が成立している元配偶者も、相続人にはなれません。

血族相続人

配偶者と違って、血族相続人については、少し複雑です。

というのも、配偶者は一人(上述のとおり法律上婚姻関係がある人のみが相続人なので)ですが、血族相続人は複数いるからです。

民法は、血族相続人を優先順位で三つに分けて、優先順位の高い血族相続人がいる場合には、それより優先順位の低い血族相続人は相続人にならない、と規定しています(民法887条、889条)

1 子(子が先に死亡している場合孫)

2 直系尊属(親のこと。親が先に死亡している場合祖父母)

3 兄弟姉妹 

つまり、亡くなった方に子がいる場合には、親や兄弟姉妹は相続人になりません。

亡くなった方に、子(孫も)いない場合には、親がご存命であれば親が相続人になり、兄弟姉妹は相続人になりません。

兄弟姉妹が相続人になるのは、子(孫も)がいない場合で、親(祖父母、曾祖父母…)も先に他界している場合のみ、ということになります。

このように、血族相続人が誰になるのかはケース・バイ・ケースですので、特に子どものいない方は特に留意が必要です。

そのため、子どものいない方は、相続が思ったとおりに行かないリスクを避けるために、遺言を書く必要があるでしょう。

その他の人に財産を相続してもらいたい場合には

上述のとおり、民法では誰が相続人になるのか、ガチガチに決められています。

これは、相続争いを複雑化しないための法制度です。

ただし、「別れた妻との間に子どもがいるが、子どもだけではなく、弟にも一定の財産を相続させたい」というようなニーズを満たすことができないというデメリットもあります。

「民法ではなく自分が財産を受け継ぐ人を決めたい」

「その他の人にも財産を受け継いでほしい」

という方は、生前に遺言を書く必要があるのです。

まとめ

遺言のない場合、財産を受け継ぐ人(相続人)が誰になるかは、民法によって決まっている

事実婚の配偶者は相続人にはなれない

血族相続人は優先順位に留意が必要

民法の定めと違う人に相続してほしい場合には、遺言を書く必要がある

事実婚の人、子どものいない人は、遺言を書く必要性が高い

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