ダブルライセンスによる経営・法律・会計ブログ

乃木坂46合同会社と持分法会計

コラム(乃木坂46)

乃木坂46合同会社とは

国民的アイドルグループと言ってもいいほどの大人気アイドルグループ、乃木坂46ですが、その運営会社をご存じでしょうか。

運営会社は、「乃木坂46合同会社」というところです。

合同会社という言葉は、耳慣れない言葉かもしれません。

合同会社とは、会社法(2006年施行)が作られた際に、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルに新たに導入された形式の会社です。

合同会社の特徴は、以下の4つです。

①設立や運営のコストが安い
②会社の内部規律を比較的自由に決められる
③有限責任(株式会社同様、会社が負債を返せなくても出資者は返済義務を負わない)
④決算公告義務がない

これらのメリットがあるため、Google、Apple、Amazonといった外資系企業の日本法人には、合同会社という形態が好んで選ばれています。

乃木坂46の運営会社も、これらのメリットに着目して、合同会社という形態を選んだのでしょう。

今回から数回にかけて、弁護士・会計士のダブルライセンスである(そして何より乃木坂46の大ファンである)筆者から、乃木坂46合同会社について、法律や会計の面から、検討をしていきます。

持分法会計・関連会社とは

持分法会計とは、企業グループが連結決算を行う際に、関連会社などへの投資を企業グループの経営成績に反映させるために適用される会計方法のことです。

関連会社とは、子会社とは異なり親会社が意思決定が支配しているるとまでは言えないものの、会社の財務や営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる場合の会社を言います。

誤解を恐れずにわかりやすく簡略化すると、
議決権の50%超(以上じゃない)を保有していれば子会社になり、
議決権の20%以上50%以下を保有していると、関連会社になります。
(実際はもう少し複雑です)

持分法会計の処理

以下、具体的な数値を用いて考えてみましょう。

A社:売上1000、当期純利益100
B社:売上200、当期純利益20

①子会社の場合
子会社の財務諸表は原則として全部合算して、最後に利益だけ出資持分に対応するように調整します。
たとえば、A社がB社株式の70%保有している場合、A社グループの連結財務諸表は以下のとおりになります。
売上:1200、親会社株主に帰属する当期純利益114(A社分100+B社分14)

②関連会社の場合(持分法会計)
関連会社の財務諸表は合算せず、利益だけ出資持分に対応するように調整します。
たとえば、A社がB社株式の20%保有している場合、A社グループの連結財務諸表は以下のとおりになります。
売上:1000(A社のみ)、親会社株主に帰属する当期純利益104(A社分100+B社分4)

つまり、持分法会計の場合、売上・経費や資産・負債については合算がなく影響がない一方、
利益については関連会社の影響を受ける
、ということです。

乃木坂46合同会社は株式会社KeyHolderの関連会社

株式会社KeyHolderという東証スタンダードの上場企業があります(証券コード4712)。

株式会社KeyHolderには、株式会社ノース・リバーという子会社がありますが、

この株式会社ノース・リバーが、乃木坂46合同会社の出資持分の50%を保有しています。

つまり、株式会社KeyHolderは間接的に乃木坂46合同会社の持分の50%を保有しているため、乃木坂46合同会社は株式会社KeyHolderの関連会社、ということになるのです。

なお、ちょうど50%なので子会社ではなくて関連会社、ということです。

上場企業の関連会社であるため、乃木坂46合同会社については、一部の経営数値が公表されています

通常の合同会社は、上記メリット④のとおり、決算公告がなされないので、通常は経営数値が公表されません。

また、株式会社KeyHolderの株主優待に、乃木坂46のライブチケットがありますが、これは乃木坂46合同会社は株式会社KeyHolderの関連会社であるため、なされているといえるでしょう

ちょっと長くなってきたので、続きはまた次回の記事で。

まとめ

乃木坂46の運営会社は「乃木坂46合同会社」

合同会社は、コストが低く、組織形態が柔軟にできるなど、メリットが大きい

巨大外資企業の日本法人も合同会社

出資持分が20~50%の場合、持分法が適用される関連会社となる

関連会社がある場合、連結財務諸表上、損益に関連会社の成績が反映される

乃木坂46合同会社は、上場企業である株式会社KeyHolderの関連会社

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