パークの向こう側で起きている大変革
東京ディズニーリゾートと聞けば、多くの人がシンデレラ城やスリリングなアトラクション、愛されるキャラクターたちを思い浮かべるでしょう。
「オリエンタルランド(TDL/TDS)2025年3月決算短信」の記事では、オリエンタルランド全体の業績について、特にテーマパークを中心に、解説しました。
テーマパークがその体験の中心であることは間違いありませんが、魔法はパークのゲートをはるかに超え、今やビジネスの根幹を成すまでに急成長している「ホテル事業」にも広がっています。
2025年3月期は、オリエンタルランドのホテル部門にとって驚異的な成長を遂げた年となりました。特に、新たなホテルの開業が起爆剤となり、過去の記録を次々と塗り替えたのです。
2025年3月期は過去最高の業績
2025年3月期は、オリエンタルランドのホテル事業にとって記念碑的な一年となりました。
売上、利益ともに前期を大幅に上回り、その勢いはとどまるところを知りません。
ホテル事業の売上高は1,104億円に達し、前期比で実に25.0%増という驚異的な伸びを記録しました 。
この力強い売上が営業利益を304億円まで押し上げ、こちらも前期比22.9%増となりました 。
連結営業利益が1,721億円なので、ホテル事業の利益が全体の17%も占めていることに、皆さん驚かれたのではないでしょうか。
この結果は、ディズニーブランドの宿泊施設が、今や会社の主要な成長エンジンの一つであることを明確に示しています。
| 主要財務指標 | 2024年3月期 実績 | 2025年3月期 実績 | 増減額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| ホテル事業 売上高 | 883億円 | 1,104億円 | +220億円 | +25.0% |
| ホテル事業 営業利益 | 247億円 | 304億円 | +56億円 | +22.9% |
「ファンタジースプリングス」効果:成長を牽引した2つの要因
この爆発的な成長の主な原動力は、待望の「東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル」の開業です 。
東京ディズニーシーの新テーマポートと一体化したこの新しいラグジュアリーホテルは、まさにゲームチェンジャーとなりました。
もう一つの重要な要因は、平均客室単価の著しい上昇です。
ディズニーホテルの平均客室単価は64,886円に達し、前期の54,430円から19.2%も上昇しました 。
これは、ゲストが没入感のある質の高い体験に対してより多くを支払うことをいとわない、旺盛な需要とプレミアム戦略の成功を物語っています。
興味深いことに、ディズニーホテル全体の客室稼働率は、前期の98.4%から95.7%へとわずかに低下しましたが、これは需要の低下によるものではありません。
この低下は「東京ディズニーセレブレーションホテル」の改修工事によるものであり 、一時的に販売可能な客室数が減少したことが原因です。
| ディズニーホテル 主要指標 | 2024年3月期 実績 | 2025年3月期 実績 | 変動 |
|---|---|---|---|
| 平均客室単価 | 54,430円 | 64,886円 | +10,456円 (19.2%増) |
| 客室稼働率 | 98.4% | 95.7% | -2.7ポイント |
売上高の増加は、運営コストの上昇を補って余りあるものでした。
新ホテルに関連する費用として、減価償却費が26億円 、人件費が従業員増と賃金改定により40億円増加しています。
こうしたコスト圧力にもかかわらず、莫大な増収効果が営業利益の大幅な伸びを確実にしました。
2026年3月期の展望:成長の勢いは続く
来期(2026年3月期)に向けても、オリエンタルランドはホテル事業の継続的な成長を見込んでいます。特に、ファンタジースプリングスホテルが通年で稼働することが、この自信の源となっています 。
同社の予測によれば、ホテル事業の売上高は1,172億円(6.2%増)、営業利益は358億円(17.7%増)に達する見込みです 。
| ホテル事業 業績予想 | 2025年3月期 実績 | 2026年3月期 予想 | 増減額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 110,483百万円 | 117,295百万円 | +6,811百万円 | +6.2% |
| 営業利益 | 30,471百万円 | 35,858百万円 | +5,387百万円 | +17.7% |
この強気な見通しは、新ホテルが今後も国内外からのゲストを惹きつけ続けるという期待に基づいています 。
また、ホテルの宿泊とパーク体験を組み合わせた「東京ディズニーリゾート・バケーションパッケージ」のような商品の好調も、この統合戦略をさらに強化しています 。
まあ、「バケーションパッケージは抱き合わせ販売じゃないか」っていう批判もありますが。。
業績好調の一因たるパーティープラン
皆さんは、ディズニーホテルのパーティープラン、参加したことがありますか?
企業・団体向けのプログラムとして、キャラクターグリーティングおよびフォトロケーションがあるパーティープランが、ディズニーホテルで開催されています。
詳細は公式HPを見てほしいですが、パーティーの冒頭にミッキーたちが来てくれるものです。
個人では申し込むことができない点が、ディズニーファンからすると残念な気もしますが、
企業経営の観点から見ると、すなわち、団体客の利用を集客できるというメリットがあるわけです。
私も実際に参加してみましたが、以下のように、とても楽しい時間を過ごすことができました。
パーティープランに参加する人の行動パターン
パーティーは、アンバサダーホテルで18時から(ミッキーたちが来るのは冒頭の15分のみ)だったため、せっかくならインパークすることにして、パスポートを買い、朝からディズニーランドに向かいました。
アトラクションを楽しみつつ、パーク内で昼食を済ませます。
混んでいるアトラクションに関しては、当然、ディズニー・プレミアムアクセスを購入しました。
また、トゥーンタウンでは、ミッキーと記念写真を撮り、有料の記念写真も購入しました。
そして夕方、普段より少し早めにパークを出て、アンバサダーホテルに向かい、パーティーを楽しみました。
そろそろ分かったかと思いますが、
そう、
パーティープランに参加する1日だけで、ものすごい金額を、オリエンタルランドに支払っています。。。
私は宿泊はしなかったですが、一緒にパーティープランに参加した人の中には、ホテルに宿泊して、翌日インパークする、という方もいました。
つまり、ホテル事業の好調が、テーマパーク事業の好調にもつながる、という効果があるわけです。
これからも、ホテル事業に目が離せない、ということ、お分かりいただけたでしょうか。
まとめ
OLCのホテル事業は、新ホテル開業の影響もあり2025年3月期は業績が躍進
今後も、ホテル事業について継続的な業績拡大が見込まれる
企業・団体向けパーティープランが、団体客を招くことでホテル事業の業績を支えている
パーティープランは、ホテル事業のみならずテーマパーク事業にも好影響を与える


コメント