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第三者委員会等報告書まとめ No.7 Abalance株式会社

第三者委員会

会社・委員会報告書の概要

■1 対象会社
Abalance株式会社(以下「Abalance」)

■2 日付
・委員会設置日:2025年9月2日
・報告書提出日:2025年12月17日

■3 市場・会計監査人(監査法人)
・上場市場:東証スタンダード市場
・会計監査人:アスカ監査法人(2024年6月期まで)
       中部総合監査法人(2025年3月期)

■4 委員会・委員・補助者
・「第三者委員会」
日弁連「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」への準拠あり

・委員
委員長:本澤 順子 (弁護士)
委 員: 小黒 健三 (公認会計士)
委 員: 田中 貴一 (弁護士)

・補助者
公認会計士 3名
弁護士 4名
株式会社foxcale 4名

報告書のサマリ

■1 不正の内容

本報告書で認定された不正は、主に以下の3点。

①有償支給取引を利用した粉飾決算
連結子会社のWWB株式会社(以下「WWB」)において、太陽光発電所の建設請負業者に対し部材を有償で販売した形式をとり、売上を計上していました 。しかし有償支給の実態は、WWBが完成した発電所を買い戻すことが前提の取引であるため、会計基準上、売上や利益を認識することは妥当でない。

②融資資料の偽造
宮城県の大和大衡案件において、金融機関から融資を引き出すために、工事請負業者の協力を得て、実際とは異なる高額な請求書を作成・提出し、支払実績を仮装するための入出金を行っていた 。さらに、社内で請求書データを上書き修正(数字の貼り付け等)していた事実も判明している。

③関連当事者取引の秘匿
筆頭株主である代表取締役会長らが支配するベトナム企業は、重要な子会社等に、すなわち関連当事者に該当するにもかかわらず、金銭消費貸借契約を関連当事者取引として有価証券報告書に注記していなかった 。


■2 不正の原因

第三者委員会に先行して設けられた監査等委員会の夜調査では、上記①を不正ではなく、誤謬であると認定した。

しかしながら、第三者委員会では、誤謬ではなく不正会計(粉飾)であると評価している。

なお、粉飾を生んだ要因としては、主に以下の3つを指摘している。
①資金繰りのプレッシャー
②予算達成のプレッシャー
③ガバナンスの欠如(社内のガバナンスの欠如及び監査法人による牽制機能の不十分さ)


■3 会計処理への影響額

有償支給取引を利用した不適切会計については、すでに少なくとも誤謬として把握されていたため、Abalanceはすでに、以下の内容の訂正報告書を提出済みである。

2022年6月期:売上高▲312百万円、営業利益▲91百万円、純資産▲60百万円
2023年6月期:売上高▲2,130百万円、営業利益▲760百万円、純資産▲539百万円
2024年6月期:売上高0百万円、営業利益+11百万円、総資産▲532百万円


■4 再発防止策

第三者委員会は、現状の経営体制では自浄作用が発揮されておらず、厳しい提言を行っている。

  • A氏の影響力の抜本的な除去: A氏(代表取締役かつ大株主)が経営から退くだけでなく、第三者による株式買取や増資等を通じて、株主としての支配力も排除すべきであるとしている。
  • 経営陣の刷新: 不正に深刻な関与が認められた経営陣は退任し、真に牽制機能を発揮できる外部人材を登用すべきである。
  • 実効性あるガバナンス体制の構築:業務フローの見直し、経理部・財務部・内部監査室による牽制、IRへの努力が必要である。

その後の経緯

その後の経緯が、本件の最大の特徴です。

なんと、第三者委員会報告書に経営陣が納得できなかったためなのか理由はわかりませんが、Abalanceは「第三者委員会の調査結果宝庫奥書に対する検証委員会」を設置しました。

Abalanceとしては、『第三者委員会による「調査結果報告書」の内容を外部の第三者の方々に厳正に検証していただくことが、今後の当社の持続的な経営活動に必須であると判断したため』と理由づけていますが、このような理由があるからといって、さらに検証委員会を作るのは驚きです。

当該検証委員会の報告書が、2026年2月20日付で作成されており、主な内容としては、第三者委員会報告書を批判するものとなっています。

確かに、第三者委員会報告書も批判されるべきケースはあるとは思いますが、わざわざ別途委員会を設置するなんて、あまり(というか全く)聞いたことないですね。。。

ただ、第三者委員会報告書への批判的視点としては、興味深い資料だと思います。↓にリンクを記載していますので、是非こちらもご覧になってください。

本件では監査等委員会の報告書もその前に出ているので、全部で3つも委員会報告書が出るという、異例の事態になっています。

資料へのリンク等

■会社IR
第三者委員会の調査結果報告書公表に関するお知らせ
第三者委員会の調査結果報告書に対する 検証委員会設置に関するお知らせ
検証委員会の検証報告書公表に関するお知らせ

■日経記事
Abalanceの株価ストップ安 第三者委が不正会計と指摘

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