ダブルライセンスによる経営・法律・会計ブログ

弁護士・公認会計士の年収・所得 ~令和6年度国税庁統計を実態に近づけて~

コラム(ダブルライセンス)

弁護士・公認会計士の年収・所得についてのデータ

弁護士や公認会計士の年収については、様々な機関がアンケートを集計しています。

このうち、もっとも信頼度が高いのは、やはり国税庁統計だと思います。

国税庁統計情報は毎年公開されていますが、今年(2025年・令和7年)も10月31日に公開されました。
このデータは、確定申告を元に作成されているため、基本的に虚偽がないことから、最も信頼性があります。
最も、少し見方や解釈が難しいことから、単純に読んでも実態を把握できません。

この国税庁統計情報を引用・説明しているブログやSNS記事はたくさんありますが、
本記事では、見方や解釈を丁寧に説明して、弁護士や公認会計士の年収・所得を実態に近づけて把握してみます。

国税庁統計情報 所得の分布

国税庁は、申告所得税について、業種ごとの事業所得の金額の分布について、公開しています。

「弁護士」「税理士、公認会計士」(会計士単独で項目分けされてない。以下「会計士等」)について、以下のとおりです。

実際の統計ではより細かく区分されていますが、分かりやすさのため若干まとめました。

この表の見方は、たとえば以下のとおりです。

確定申告した弁護士38,436人のうち、所得が200万円超400万円未満のひとが3,622人
確定申告した会計士等47,911人のうち、所得が800万円超1000万円未満のひとが5,095人

つまりこの表は、弁護士や会計士等の、事業所得の分布を示す表です。

なおこの合計人数は、申告所得がある人の合計(マイナスの事業所得の方は含まれてない)です。

弁護士・公認会計士の平均所得は?

この国税庁統計情報には、事業区分の人の合計の所得金額が記載されています。

そこから単純平均を計算すると、以下のとおりです。

つまり、弁護士38,436人の合計所得が454,783百万円、なので平均所得が1,183万円。
会計士等47,9111人の合計所得が369,887百万円、なので平均所得が772万円。

ほとんどのサイト、ブログやSNSが、こうやって集計して、

「弁護士の平均所得が1,183万円!」「会計士等の平均所得が772万円!」

って記事を書きます。

ただ、後述するとおり、この集計はちょと雑で、実態を表していません

国税庁統計資料の見方

集計の見方の前に、まず資料の見方について大事な点をいくつか説明します。

①数値は申告所得、その中でも事業所得についてのもの

まず、「年収と所得が違う」というのは多くの方はご存知だとは思います。

年収(収入)とはいわゆる受け取る権利のある額面のことで、所得とはそこから経費を引いた金額です。

サラリーマンであれば、所得 = 年収 - 給与所得控除(年収によって55~195万円)、という理解でよいかと思います。

自営業者であれば、所得 = 収入(売上) - 経費、という理解でよいかと思います。

この国税庁統計は、事業所得(自営業者の事業に関する所得)についてなので、売上から経費を引いた数値、ということです。

なので、サラリーマンと直接比較するのは実に難しいですが、ざっくりいえば、

事業所得800万円の自営業者と、年収1,000万円のサラリーマンが同じくらいです。

なので、年収って言い方をすると、上記の単純平均の数値を用いると、
弁護士で約1,380万円、会計士等で約970万円、くらいのイメージになります。

②サラリーマン・監査法人勤務の人はそもそも人数の集計の対象外

ここが最も大事なことかもしれません(笑)

というか、会計士等のところ、金額が低すぎる、というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?

「監査法人に入ったら、10年目には1,000万円超。パートナーになれば最低でも1,500万円」という感じですよね。

(なお、全くデータに基づいていないので気を付けてほしいですが、大手監査法人のパートナーの年収は、平均約3,100万円、中央値約2,600万円と聞いたことがあります。パートナーに聞いたら「まあそんなものかもしれないね」とは言ってました。)

ただー、そもそも、確定申告しない人はこの表には含まれていません!!

というか、監査法人からの給料は事業所得ではなく給与所得(パートナーでも)なので、そもそも上記の表の集計対象ではありません

ちなみに、よく「なぜ会計士と税理士が同じ区分なのか」という疑問があります。

思うに、これは、事業所得のある会計士=独立している会計士であり、独立会計士は主に税理士業務をやっている人が多いから、というのが理由かもしれません。

また、弁護士であっても、いわゆるインハウスローヤーの方が会社からもらっている給料も、同様に集計対象ではありません。

所得が少なすぎる区分に人数がたくさんいる理由

上の表をもう一度見てほしいのですが、
所得200万円以下の区分に、弁護士が7,955人、会計士等が4,257人、います。

たまにこれを見て「弁護士オワコンw」見たいに言う人がいますが、まったく実態が理解できてません。

上述のとおり、この表は事業所得の数値なので、法律事務所から受け取る給与所得(事務所によって、給与所得か事業所得か異なります)は含まれていないのです。

つまり、事務所から年間1,000万円貰って、個人で所得100万円(ex売上200万円、経費100万円)というひとは、上記表では「所得200万円以下」の区分に入るわけです。

なお、弁護士の方が会計士等よりも200万円以下の数が多いのは、主に以下の2つの理由かと思います。

①法律事務所に務める弁護士の大半は個人事件をやっているので事業所得がある人がほとんど。一方、会計事務所に勤める会計士等は必ずしも個人で業務をしているわけではない。

②弁護士は昔の名残で、死ぬまで・若しくは相当高齢まで弁護士登録続ける人が多いため、ほぼ仕事していないけど確定申告する人が一定数いる。

国税庁統計情報を実態に近づけて修正

したがって、こういった給与所得メインの方を平均所得の対象から弾くことで、より実態に近い数値を出すために必要となります。

さすがに弁護士や会計士等の事業所得が本業の人で、所得が200万円以下というのはあり得ないでしょう。

そこで、所得200万円以下の区分の人について、平均所得100万円仮定し除外して計算してみると、こんな感じとなります。

弁護士の平均所得が1,466万円、会計士等の平均所得が838万円、という結果になりました。
(上述のサラリーマン年収換算をすると、弁護士約1,660万円、会計士等約1,030万円)

弁護士に関しては、かなり肌感覚と近い数値になったかと思います。

会計士等については、これでも若干低い気がしますが、前述のとおり監査法人や企業に勤める人が含まれていないこと、税理士と合計であることから、このような数値になったのだと思います。

まあ、正直これもかなり雑な計算であることは否めませんが、単純に平均値を取った数値より、実態には近づいた数値ではないでしょうか。

まとめ

弁護士・会計士の年収は様々データがあるが、国税庁統計が一番信頼性が高い

集計の対象は、弁護士、会計士等の事業所得(給与所得は含まれない!)

「弁護士の平均所得1,183万円」「会計士等の平均所得が772万円」は雑な計算

所得とは、売上から経費を引いた金額

監査法人や企業勤務等の方の給料は、そもそも集計の対象外
➡会計士は低めに出る

修正計算すると「弁護士の平均所得1,466万円」「会計士等の平均所得が838万円」となる

コメント